建物に恋して、砂に癒されて──関西万博、2回の訪問から見えたもの
こんにちは。
こちらは、本編の投稿とは少し趣のちがうボーナス投稿です。
今回は、4月と6月に訪れた関西万博のことを。
そこで見たもの、感じたこと、そして思いがけず考えさせられたこと。
聞いていただきたいことがたくさんあるんです!!連載の内容から少しはみ出した小さな気づきや感動を、あなたに宛てた手紙のように綴っていけたら・・・そんな気持ちで書いています。
私はまず4月23日、万博開幕10日後に行ったんです。当初あんなに批判されていたし、周りにも行くと言う人が全くいなかったので、きっと空いているだろうなーとそんな気持ちでした。報道されているようにドタバタしているのだろうか?そんな野次馬的な気持ちもあったのかもしれません。
当日は、今の大賑わいと比較すると、とっても快適!会場への地下鉄も余裕で座れたし、園内を歩いている人の数も全く違う。
そして何よりも涼しい!!会場は大阪港の島なので、夕方になるとかなり気温が下がるほどです。
とここまでは良かったのですが、何よりも下調べをほとんどしない行きあたりばったりの旅だったので、後から後悔すること続出です・・・
そして未練も残っていたので再び行くことに。今回はどうしてもイタリア館に入りたいという目的一つ!!みたいな感じで行ったのですが、大行列を見て気持ちが挫けてしまい、さらに暑さでクラクラくるという状況に。
でもその後は気持ちを取り戻し、夕方の少し涼しくなってきた園内で色々なパビリオンを楽しみ、ドローンショーを見て満喫しました。
ということで、今回はこんな視点からお届けします。
📍見ているだけで楽しかったパビリオンたち
📍1番のお気に入りパビリオン
📍期待しすぎて裏切られたパビリオン
📍建物に圧倒!!でも中は普通だったパビリオン
📍入りたかったのに、願い叶わずパビリオン
来た価値があった!建物好きの心をくすぐる、見惚れるようなパビリオンたち
万博を訪問する目的って人によってさまざまだと思うのですが、私は建物を見たい!!という気持ちが強かったです。
形、素材、角度、光、空間の取り方。
そこに加えて──色やデザインもまた、すべてが「選ばれた結果」。
記憶に残ったものを少しご紹介させてください。






こうやってみると、自然を意識した素材や形などが多いですね。
そして私は大屋根リングにも感動しました。木を組み合わせて作っていくあの美しさ。そしてあの巨大さ。
その上を歩いて、遥か遠くの方の景色を見たり、この木組が水面に映っている様子も圧巻でした。
万博のサイトからの情報によると
全長:2025m
建築面積:61,035.55 m²
内径:約615m
外径:約675m
幅:約30m
高さ:約12m(外側約20m)
使用木材:(国産)スギ、ヒノキ (外国産)オウシュウアカマツ
※国産が約7割、外国産が約3割
ここを歩くだけでかなりいい運動になりそうです(笑)


今回のいちばんの出会い、お気に入りのひととき



友人が勧めてくれて入ったヨルダン館。今回以外にも一番のお気に入りとなりました。とても小さな会場なのに、ぎゅっととコンパクトに見どころたくさん散りばめてあり、大満足のパビリオンでした。
30名ほどのグループで説明を受けて見ていくスタイルなので、入場まで40−50分ほど待ちました。
入るとまずは、たくさんの糸で織られたようなタペストリーが壁にかかっており、その下にある岩の木琴のようなものを叩くと、日本語や英語、アラビア語で文字が出てくるようになっていました。
ヨルダンは実はずっといつか行ってみたいと思っている憧れの地。ペトラ遺跡を見に行きたいのです。そのため今回はその行きたいがさらに強まったような気がします。
そして次はもう一つ奥の特別空間へ。なんと砂漠の砂を大量に運んできていて、床に敷き詰められているのです。最初は150トンあった砂を、日本に持ってくるために洗浄して検査を受けたりしているうちに、20トンほどになってしまったのだとか。それを船で運んできた。ガイドさんのおすすめは裸足で砂を感じること。そのためみんな靴を脱ぎ、靴下を脱いで砂の感覚を味わいます。
ひんやりとして、そしてサラサラで気持ちいい!!
一日歩いて疲れた足がなんとなくリラックスできたような気持ちに。
私もかつてサハラ砂漠を歩いたことありますが、そういえば裸足では歩かなかったなぁなって。
説明をしてくださっているヨルダンのガイドさんが、上手な日本語にジョークを交えとってもチャーミングで、さらに楽しい気分になりました。
館内にはお土産やカフェもあり、私たちはデーツとスパイスたっぷりのコーヒーを味わいました。美味しかった。
いつかヨルダンに行ってみたい。貴重な体験をさせてくれて本当にありがとう。とそんな気持ちで外に出てきました。
すごい。でも、何かが足りない気もする・・圧倒されたけれど、どこか空白が残った体験
おおーと建築に圧倒されて、中に入ったものの・・・ちょっと期待はずれなパビリオンもありました。
まぁこれは仕方ないのかなぁとも思うのですよね。建物も展示もどちらに力を注ぐのはとっても難しいのかもしれないですよね。
こちらはアゼルバイジャン館。
踊る女性たちの彫刻が、音楽に合わせて回っていました。白い建物に彼女たちの姿が映えて美しかったですね。写真を撮りたいなと気持ちを掻き立てますね、これは。
中は、映像でアゼルバイジャンの紹介。そして工芸品などの展示でした。工芸品はなかなか目にする機会がないものもあるので、良かったのですが、ただ展示されているだけだったので、さーと見るだけにとどまってしまい、少し残念でした。
こちらはスペイン。壮大な建造物で圧倒されます。
左は昼間の様子で、右は夜。なんだか別の建物のようですよね。
この段になっているところが階段になっていて登っていき、上の開けているところから入ります。
入り口のあたりはステージとしても使われているようで、フラメンコなどもやっていたようです。
こちらも中はスペインを多角的に色々と紹介していました。


期待して、楽しみにしていたのに、今ひとつ響かなかったもの・・・



さて4月、私は、7日前抽選で第一希望に選んでいた英国館に当選しました。
10時の入場で万博ゲートを入ると、まず英国館に向かいました。
地下鉄を降りてすぐの東ゲートからは、英国館はほぼ反対の位置にあり、かなり距離があるのです。途中、長蛇の列のアメリカ館、フランス館を横目に見ながら到着。
外観は、積み木のようなモジュール建築。
「偉大なことは、小さな始まりから」というテーマのもと、小さな立方体が重なってできた建物です。お花で彩られた赤い電話ボックスや、ちょっとした庭園もあって、外観はやっぱりイギリスらしい遊び心があって素敵。
しかし11時の予約のはずなのに何故かなかなか入れない・・・説明も何もなく、途中で帰ってしまう人もいるほど。一言説明があればきっと違ったと思うのですが。
20分ほど待ったでしょうか、ドアが開き中に入ることができました。
展示の内容はというと──「過去の発明の紹介」と「夢の大切さ」。親子のやりとりを通して、イギリスの発明の歴史を紹介しながら、「小さなアイデアが未来をつくる」というメッセージが展開していきます。
このメッセージは好きだけど、もう少し意外性や切り口の新しさがあったら…と思ってしまい、全体的に定番的というか、映像もAI色が強くて、感情移入しづらかったかな(笑)
イギリスって数々の革新を生んだ国なので、“未来への想像力”や“ユーモア”、ちょっとした“皮肉や知性”みたいなものをもっと感じたかったかも・・・・
どうしても入りたかったのに叶わなかった場所・・・


少し前にもチラッと書いていたので、読んでくださった方もいらっしゃるかもしれません。
イタリア館、結局6月も入ることができませんでした。
7日前抽選は全て(第5希望まで出せます)はずれてしまいました。
ということで当日はとにかく入ったらすぐにイタリア館に向かおう!!と張り切って行ったのですが、なんせ暑い!入場ゲートで30分ほど待っているうちにかなり汗が出て体力消耗。
さて、今回は前回4月の東ゲートではなく、西ゲートから入ることにしたのです。と言うのも、イタリア館は西ゲート入ったらすぐだからです。
しかしこのゲートを利用するには会場まで決められたバスで向かわないといけない。そのため、シャトルバスが出ている駅まで電車で向かい、そこから会場までのバスを利用することに。このバスの予約を取るためのアプリがとても使いづらく、それも不安を増幅させます・・・(QRコードを一度確認などで表示させて閉じてしまうと、2度と表示できず、バスに乗れないのだとか・・・)
と、まぁ色々書きましたがなんとか入場できました。
入ると大屋根リングの下に、ものすごい数の人達が並んでいるのが見える。あれはなんだろう??と思ってイタリア館の人に尋ねると、あの行列がイタリア館入場待ちの列なのだとか。
え・・・
「どれくらい待つのですか??」と恐る恐る聞いてみたところ
「1−2時間と言うように言われているのですが、4−5時間かかると思います。連日そんな感じです」と。
なんと!!
崩れ落ちるような気持ちとはこんな感じでしょうか。
もう無理無理・・・と諦めたものの悔しい。その複雑な気持ちを抱えながら会場をふらふらと歩く。どうしようー。夕方に待ち合わせしている人と会うまでまだ5時間くらいあるけれど、どうしたらいいんだと、色々な感情とそこに暑さが混じって、目がチカチカして、動悸がして、一旦ベンチに座ることに。
なんで自分はこんなにも体力がなくなってしまったんだと座り込んでいる私の前を、私より遥かにご年配の方々が元気よく歩いて行かれます。
結局ちょっと涼しくて静かなところでゆっくりしようと、会場を一度出ることに。再入場用スタンプを押してもらい、数時間別の場所で時間を過ごすことになりました。
イタリア館には入れなかったということだけで、こんなにも長くなってしまいました。
ちなみに写真は夜のイタリア館。屋上は庭園のようにもなっていて美しいかったですよ。そして今回来日しているカラヴァッジョの「キリストの埋葬」。友人から写真をもらって大切にしています。
帰ってきてからも、ふと考え続けていること
実はまだまだご紹介したい建物や、バーレーン館、フランス館は中もじっくり見てきたので書きたいところですが、今回はここまでで終わりたいと思います。
万博、感動したものの、気になっていることもあります。
まずは大屋根リングのこと。
日本の素晴らしい技術を見せてもらい、実際に中を、上を歩き、心から感動したのですが、でもあの大量の木材はどうなるのだろうと。
万博が終わると取り壊されてしまうそうです。そしてあの木材の使い道を公募しているのだとか。なんとその先の使い道を先に決めることなく、構想が進められたんですね・・・
さらにパビリオンなどの建物たちは。
複雑な気持ちになります。
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最後まで読んでくださってありがとうございます。
次回は本編投稿。ルノワール編第二弾です。